靴の製法の特長のご紹介
靴の製法とは、アッパーと表底を結合する底付けの方法のことです。糸で縫い付ける方法や接着剤で貼り付ける方法、一体成型する方法などがあります。
アッパー … 甲革(こうひ)、表革
表底 … アウトソール、本底
ウェルト … 細革、コバ
ミッドソール … 中板
グッドイヤーウェルト製法 Goodyear Welt
高級紳士靴の代名詞にもなった伝統的な製法で、重厚感あふれる堅牢な作りが特長です。
グッドイヤーウェルト製法は、中底と甲革、コバの三つをすくい縫いしたあと、ウェルトに表底を出し縫いする製法です。
履き込むほどに足になじみ、型くずれしないので、表底の取り替えや半張り修理が何回もできるので長く履き継ぐことができます。また一足の靴が仕上がるまでに、高度な技術と丹念な工程が求められます。
マッケイ製法 Mckay Process
マッケイ製法は、1860年代からアメリカやイギリスで広がった製法で、日本では明治30年頃に導入されました。
マッケイ製法は、つり込んだ甲革と中底を直接、表底と縫い合わせる製法です。
靴内部の底から甲にかけて足を包むように仕上げるため、返りが良く構造がシンプルで軽量です。
ノルヴェジェーゼ製法 Norwegian Process
ノルヴェジェーゼ製法とはイタリアのブランド「ステファノ・ブランキーニ」で開発された製法です。
ノルヴェジェーゼ製法は、中底と甲革をすくい縫いしたあと、折り返した甲革と中板(ミッドソール)を出し縫いし、さらに中板と表底に出し縫いをかける製法です。
通常、甲革は靴の内側に入れ、中底と一緒に靴の内側で縫います。しかし、ノルヴェジェーゼ製法では甲革の端を外側に出したままにします。
ノルウィージャンウェルト製法 Norwegian Welted Process
ノルウィージャン製法にL字に曲げたウェルトを付けスクイ縫いをした
もの。
ステッチダウン製法 Stitch-down Process
裏革の無い場合は甲革を外側に向けてつり込み、表底に張り付けて周辺を中底と一緒に縫い込みます。裏革がある場合は、裏は内側につり込み、甲革を外につり込んで縫い込みをする製法です。
軽量で屈曲性も高くソフトな履き心地が得られることから、カジュアルシューズなどに多く見られます。
カルフォルニア・プラット製法 California plat process
アメリカのカリフォルニア州で開発された製法で、屈曲性があり履きやすく仕上がるのが特徴です。
甲革・中底・巻革(プラットフォーム巻革)を縫い合わせて袋状にし、巻革を底側に巻き込んでから表底を貼りつける製法です。巻革の部分が特徴で、甲革と異なる素材で変化が出せます。中底に薄く柔らかい材料を使うため屈曲性の良い靴に仕上がります。
ダイレクト・バルカナイズ製法
バルカナイズとは加硫と呼ばれる化学プロセスで、ゴム製品の製造過程で硫黄などの化学物質を加え、目的に応じた弾力性のゴムを製する操作のことです。
ダイレクト・バルカナイズ製法は、甲革に中底をつけるまでは他の製法と同じです。釣り込んだ甲革をモールド(金型)にセットし、これに未加硫のゴムを流し込み、熱と圧力を加え、ゴムを加硫し、底を成型しながら甲革に固着させます。
セメンテッド製法 Cemented process
中底を靴型に仮止めした後につり込み、甲革と表底を起毛して接着剤を塗り、プレスにかけて熱圧着する製法です。甲革と底材を縫いつけないのでつくりに制約が少なく、軽く屈曲性に富むのが特徴です。
インジェクション式製法 Injection molding process
甲部周辺を中底に釣り込んだ後、液状の未加硫ゴム又は合成樹脂をモールド(金型)に注入し、底を付ける製法です。合成樹脂では、ポリウレタンや塩化ビニルが使われます。接着強度も高く、耐久性、耐水性に優れたウォーキングシューズに最適な製法です。